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【怪異】怪異減少が多発する意外な原因とは・・・

2016年10月29日

『原因』 福谷修

-恐ろし屋厳選怖い話-
~恐ろし屋 怖い話シリーズ~
「原因」
著書:福谷修
「最初はこのマンションに何かあるんじゃないかって思ったんです」
CGクリエイターのIさんの夫はイギリス人で、彼が日本に留学中に知り合って、そのまま結婚した。
今は東京郊外のマンションに、夫婦と生まれたばかりの長男と三人で暮らしている。
ある日、掃除のために夫の書斎に入ったIさんは、室内が異様に寒くなっていることに気付いた。
エアコンでも作動しているのかと思ったが、そうではなかった。
不思議に思って原因を調べていると、いつのまにか元に戻っていた。
夫に聞くと、やはり急に室内がひんやりすることがあるらしい。
他にも、本棚の本が突然床に落ちたり、壁に飾った写真が飛び散ったり、押し入れの中で音がして、中を見ると衣類の収納ケースが半分開いていることもあったという。
Iさんが不安に思っていた矢先、今度は夫がマンションの階段で滑って骨折する事故が発生する。
Iさんも家の中で転倒するなど、ケガが絶えなかった。
「子供もいるから、本気で引っ越そうって考えていました」
たまたまIさんが母親にこのことを相談すると、母親は、霊能力があるという初老の女性を紹介し、マンションを見てもらうことにした。
女性は、Iさん夫婦からこれまでの経緯を聞いた後、最初は物珍しそうにリビングなどを確認していたが、夫の部屋に入るや表情が一変した。

険しいまなざしで、女性は書斎の壁に近付いた。
そこには、夫が趣味で集めた、日本の伝統的なデザイン画や写真が多数飾られていた。
女性は、壁に貼られた、二枚の黒い布をじっと見つめた。布には、白い家紋が染め上げられている。
「これをどこで?」
女性が夫にたずねると、夫は「ある服にあったもので、かっこ良かったので切り抜いて飾った」と説明した。
「その服はありますか?」
夫はうなずき、押し入れから収納ケースを取り出して、中の服を見せた。
それは黒い振袖の喪服だった。
もともとIさんの親族の家にあり、年代物の上に、誰も着ないため処分する予定だったが、喪服の家紋のデザインを気に入った夫の頼みで、Iさんが引き取ったのだ。

喪服は、左右の胸の部分だけが四角く切り抜かれていた。
「たぶん、これね……」
壁に貼られた家紋を喪服に戻し、Iさんが縫い付けて、再び収納ケースに戻すと、異変は止んだという。

-終-
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多部未華子&安めぐみ主演の映画「こわい童謡」や、NintendoDSのホラーゲーム「トワイライトシンドローム 禁じられた都市伝説」等、ホラー作品の監督・脚本を多数手がける。映画監督デビュ...
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