【閲覧注意】原因は〇〇!?恐るべきGの生態に迫る……!!

-恐ろし屋厳選怖い話-
爽やか怪奇エッセイ 黒史郎
《Gの恐怖》

 いやあ、まいりました。
なにがまいったのかといいますと、最近うちにあいつが現れだしたのです。
そうです。「夏のあいつ」といったら、ゴキブリですよね。
まだヨチヨチと小さいやつなんですが、一匹見たら百万匹はいるといいますし、マメに連日訪ねてきてくれやがりますので、これはちょっと、まずいわけでして。
といいますのも、我が家がコックローチのコロニーになると、妻は子を連れて出ていくといっておるのです。
冗談じゃないですよ。虫けらごときで家族を失うなんて。
これは原因を見つけ、即対処しなければなりません。



 何年か前に拾ってきたミシシッピアカミミガメの「ミゴ」をベランダで飼っているのですが、僕は間違いなく、ゴキブリ出現の原因は彼だと思っていました。
ゴキブリは彼の生ぐさい臭いに誘われて来たんだと。
しかし、妻は違うといいます。
ゴキブリが現れた原因は、僕にあるというのです。
「やい、妻、それはどういうわけだい」と厳しく問いただしますと、
「お前は最近、原稿に追われて数日間、風呂に入ってないだろ」と返ってきます。
 
 人聞きの悪い。
 自分の旦那をなんだと思ってるんだ。
 まあ確かに最近、自分から乾いた雑巾みたいな臭いがするなとは思っていましたし、トイレに行った後、ふと、僕の中にお尻を拭いた思い出がないことに気づくこともありますが。
でもですよ。フロハイラーズ、シリフカーズだからって、人がそう簡単にゴキブリ召喚の臭気を放つまで落ちぶれるものでしょうか。
妖怪ウ●ッチにだって、そんな能力のある妖怪はおりませんよ。
だから僕は、凛とした態度で、こういい返してやりました。
「お前ね、自分の旦那をミシシッピアカミミガメよりも汚い臭いみたいに言うもんじゃあないよ。世の中には、のっぴきならぬ事情で僕よりもお風呂と縁遠い方たちもいらっしゃるんだよ? そういう方たちは黒い虫たちを率いているかい?  いないだろ? そりゃそうだよ。そんなもんで虫のモテ期なんて到来したら、風呂嫌いを公言しているM君(知人)なんか、今ごろとっくに虫のマンションにされているよ。僕なんて三日か四日入らなかったくらいのもんだろ? いや、五日や六日かもしれないけど、風呂に入らない人たちのなかではエリートみたいなもんじゃないか。それをお前……めったなことをいうもんじゃあないよ」
 
 しかしまあ、ものは試しということで、風呂には入ってみましたけどね。
すると、あら不思議。忌まわしき虫の出現はなくなりました。
なるほど。死にたくなるもんですね。

2007年、「夜は一緒に散歩しよ」で第一回『幽』怪談文学賞長編部門大賞を受賞。1998年頃からサイト「幻想住人録666」で様々なジャンルのオリジナル小説を公開する。短篇「ラゴゼ・ヒイヨ」で...
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