生首

どんよりした灰色の空に何かが浮かんでいた。丸い物体だった。風船のようにも見えたが・・・。

2017年01月24日

『全国の怖い話シリーズ』 愛知の怖い話 「生首(名古屋市中村区)」

-恐ろし屋厳選怖い話-
~恐ろし屋 怖い話シリーズ~
「生首(名古屋市中村区)」
著書:福谷修
 Sさんがまだ五歳の頃、太平洋戦争末期の話。

 当時、名古屋市内は米軍による空襲に見舞われ、街は火の海と化していた。
 名古屋駅裏の住宅街に住んでいたSさんも母親や妹と共に、防空壕へと避難を急いだ。

 途中、Sさんは、前方をふらふらと歩く女性に目が行った。おんぶ紐で、赤い布を着た赤子を背負いながら、やや上半身を反らして、あちこちで上がる火災の煙が立ちこめる空に向かって「○○ちゃ~ん……○○ちゃ~ん」と力なく声を上げていた。
「きっと子供を探しているんだろうと……。逃げている間にはぐれた? お母さんは赤ちゃんを背負っているから兄弟だろうか? って思ったんです」
 そう振り返るSさんは一緒に探してあげようと、女性の背後に近付いた。
 Sさんは背中におんぶした赤ちゃんを見た。赤い布を身につけていると思ったのは、白い布が真っ赤に染まっていたためだった。赤ん坊の頭はちぎれて無く、短い手と足は青白くたれて、ぴくりと動かなかった。
「○○ちゃ~ん……○○ちゃ~ん」
 女性は空に向かって名前を呼びかけている。
「まさか……あの世にいった子供を探しているのかしらって……」
 Sさんが、赤ん坊の首無し死体を背負ったまま歩く女性を呆然と見守っていると、ようやく母親が気付いて、Sさんの手を引っ張った。
 Sさんは駆け出しながら、空を見上げた。
 どんよりした灰色の空に何かが浮かんでいた。丸い物体だった。風船のようにも見えたが、違っていた。
「……生首だったんです。小さな赤ちゃんの……。それが音も無くふわふわと空に浮かんでいる。しかもその生首の顔はニコニコと笑っていたんです。私はとっさに女性を見ました。でも女性は背を向けたまま生首に気付きませんでした」
 Sさんも母親と共に防空壕に向かいながら、何度も空を見上げたが、いつしか生首は雲に紛れるように見えなくなった。もちろん逃げることに必死の母親に、このことは一言も話していなかった。
「どうせ信じてもらえないでしょうから。でもあのお母さんには一言教えてあげたかったですね。……赤ちゃん、笑っていましたよって」
 その後、Sさんは防空壕に入り、難を逃れることができた。
 やがて終戦を迎え、Sさんは焼けてしまった自宅を離れて、一時的に田舎の親戚に預けられることになった。
 名古屋を旅立つ日、駅の近くでは、駐留した米兵達が、積み上げられた子供達の焼死体の前でピースサインをしていた。すると米兵の一人が、子供の焼けた頭部をサッカーのように蹴り上げた。品のない笑い声を上げ、二、三人の米兵が代わる代わる子供の頭を蹴り上げていた。
 あの時と同じどんよりとした曇り空に次々と舞い上がる黒い生首は、Sさんにとって、過去の光景とどこか似ていて、暗澹たる気持ちとなった。
 

福谷先生<製作・プロデューサー・監修>
劇場用アニメ映画「アラーニェの虫籠」制作始動!!
応援クラウドファンディング募集中! / 2017年1月27日イベント開催決定!
アラーニェの虫籠
予告編①
作品解説 アラーニェの虫籠
押井守監督作「イノセンス」のデジタルエフェクトや、西島秀俊主演のドラマ「MOZU」のイラスト&アニメーション、そしてNHK「みんなのうた」(「七つの海」他)、水樹奈々・友近が声優を務めたROBOT製作アニメ「マッツとヤンマとモブリさん」などの監督を務めた、気鋭のアニメーション作家、坂本サクがたった一人で制作する劇場用アニメ映画。
“独特の表現技法”を駆使した“イマジネーションの豊かさ”と“幻想的で透明感あふれるアニメーション映像”から内外で絶賛され、作品はロッテルダム国際映画祭など10以上の海外映画祭で上映されている坂本監督。
 卓越した技術と圧倒的な映像美から、<超絶絵師>とも呼ばれる坂本が、プロになって初めて、たった一人での劇場用ハイクオリティ・アニメーション映画の制作に挑戦する。それが「アラーニェの虫籠」だ(現在製作中。2018年劇場公開予定)。
一人五役<超絶絵師>による前代未聞の挑戦!
 坂本は本作の監督をはじめ、原作・脚本・アニメーション・音楽を全て一人でこなす。
 一人で制作するアニメ作品といえば、「君の名は。」が大ヒット中の新海誠監督を有名にしたインディーズ・アニメ「ほしのこえ」や、海外ならアカデミー短編アニメ賞を受賞したアレクサンドル・ペトロフ監督の「老人と海」など、30分以下の短編作品は内外に多数存在する。しかし、60分を超える長編作品で、しかもハイクオリティ・アニメではほとんど類例がないといわれる。
声のキャストには、「すイエんサー」のMCや、『動物戦隊ジュウオウジャー』など女優としても活躍する14歳の白本彩奈(謎の少女・奈澄葉)、「特捜戦隊デカレンジャー」のデカグリーン役、『心霊写真部』の痙攣部長役、「思い出のマーニー」などの声優でも知られる伊藤陽佑(民俗学研究者・時世)、「ピンポン THE ANIMATION」の主役ペコ役で話題を集めた片山福十郎(呪術師・斉恩)、2016年の声優アワード新人発掘オーディションで最多15社にスカウトされ、『カードファイト!! ヴァンガードG NEXT』の東海林カズマ役などで注目される新人、バトリ勝悟(暗躍する青年、未可耶)ら、個性豊かで魅力あふれるキャストが実現した(ヒロイン・りん役は現在選考中)。
奇跡のプロジェクトを実現させるために
 この一見、無謀とも言えるプロジェクトを全面的にバックアップするのは、映画監督で作家の福谷修(多部未華子・安めぐみ主演のホラー映画「こわい童謡」の監督や、堀北真希主演の「渋谷怪談」シリーズ、Makuakeでも話題を集めた「心霊写真部」の原作・脚本など)。
 坂本とはアマチュア時代から親交があり、その卓越した才能に惚れ込み、今回のプロジェクトのために自ら出資し、プロデュースを買って出た。しかし、坂本がこだわる映画作りのため、あと少し製作資金が必要なため、クラウドファンディングでの募集をお願いすることになった。
アニメの新しい可能性
 新海監督や、アカデミー短編アニメーション賞を受賞した「つみきのいえ」の加藤久仁生監督、同じくノミネートされた「頭山」の山村浩二監督など、パーソナルな活動を続けるアニメーション作家に注目が集まる昨今。
 あえて坂本はエンタテインメントの中で「パーソナルな制作だからこそ可能なアニメーション表現」にこだわり、新しいアニメーション世界の扉を開かんとする。まさに彼にしか不可能な、奇跡と可能性への挑戦。ぜひともこの目で見届け、応援してください!!
STORY アラーニェの虫籠
郊外の工場跡地に建つ巨大集合住宅。
最近では、女子高生の変死体が発見され、不可解な心霊現象が目撃されるなど、いわくつきの噂が絶えない場所だった。
ここに引っ越してきた18歳の女子大生りんは、ふとしたきっかけで怪異に見舞われる。
死の呪いの恐怖におびえる彼女は、やがてこの建物の謎を探る民俗学者の時世や、呪術師の斉恩らとの出会いを通して、自らも怪異の正体に迫っていく。
果たして、りんを待ち受ける運命とは!?
そして建物に隠された驚愕の真実とは!?
STAFF アラーニェの虫籠
坂本サク Saku Sakamoto
(監督・原作・脚本・アニメーション・音楽)
2000年多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。
短編アニメ「摩訶不思議」(’00)、「フィッシャーマン」(‘02)が「広島国際アニメーションフェスティバル」に入選、「キリンアートアワード」優秀賞を受賞したのを始め、内外のコンテスト、映画祭で多数受賞。ロッテルダム国際映画祭など海外の十以上のフェスティバルで紹介される。

2002年よりフリーランスのアニメーション作家として、ショートムービー、TVのタイトル映像や、CM、PV、映画のVFXの制作、アートディレクション、演出の仕事に携わる。

近年の主な作品として、西島秀俊主演のドラマ「MOZU」のイラスト&アニメーション、押井守監督作「イノセンス」のデジタル・エフェクト、NHK「みんなのうた」(『花風車の森』『風を連れて』『七つの海』)の監督、愛媛県松山市PRオリジナルアニメで、水樹奈々・友近が声優を務めたROBOT製作アニメ『マッツとヤンマとモブリさん~七つの秘宝と空飛ぶお城』『マッツとヤンマとモブリさん2~水軍お宝と謎解きの島々』などの監督を手がけている。

福谷 修 Osamu Fukutani
(製作・プロデュース・監修)
構成作家時代に自主製作したオカルティック・ラブストーリー「レイズライン」で、第五回みちのく国際ミステリー映画祭オフシアター部門グランプリを受賞するなど、内外の映画祭で好評を博す。
 ’03年、日本香港合作ホラー「最後の晩餐」でプロ映画監督デビュー。同作はスコットランド国際ホラー映画祭で準グランプリを受賞する。
 他に、多部未華子&安めぐみ主演の映画「こわい童謡」(’07)や、芳賀優里亜主演の「心霊病棟」(’12)、馬場良馬&松永有紗主演のオムニバス「劇場版 恐怖のお持ち帰り」(’16)、映画以外にもNintendoDSのホラーゲーム「トワイライトシンドローム 禁じられた都市伝説」(’08)等、ホラー作品を中心に監督・脚本を多数手がける。
 作家としては、堀北真希&水川あさみ主演で映画化された「渋谷怪談」シリーズ(竹書房)でデビュー。以後、「子守り首」(幻冬舎)、「霧塚タワー」(TO文庫)、「鳴く女」(TO文庫)等著作多数。’16年には「怪異フィルム」「恐怖のお持ち帰り2」「愛知の怖い話」(TO文庫)が出版された。
 近作「Re:心霊写真部」(竹書房)は’10年に中村静香主演で映像化され(福谷は脚本も兼任)、ニコ生ホラー百選で二年連続評価ランキング一位を獲得。’15年に続編「心霊写真部 劇場版」(奥仲麻琴主演)が公開、’16年にも最新作「心霊写真部リブート」(松永有紗主演)がリリースされた。

「アラーニェの虫籠」の監督、坂本サクとは自主映画「レイズライン」以来交流があり(「レイズライン」で坂本はCGアニメーション&ビジュアル・エフェクト)、’16年の映画「劇場版 恐怖のお持ち帰り」(CG、VFX、ビジュアル・エフェクト)まで、福谷の作品に多数参加している。
 今回、坂本の、プロとして初めてのオリジナル長編アニメーション映画を、プロデューサーの立場で全面的にバックアップする。
<集まった資金の使い途と、作品への思い>
お世話になります。
もしも目標金額200万円が達成できたら、大変ありがたく、なんとか制作の目処が立ちます。ただし予算的には(自腹の出資も含めて)ギリギリではあります。
仮に300万円あればスタジオが借りられます(現在は大半が自宅での作業です)。
500万円以上で、スタジオでの高度な編集、エフェクト、画像処理、音響効果、アフレコが可能になり、納得のいくクオリティに近付けられます。
予算が増えても、坂本サクが一人でアニメーションを制作することに変わりはありません。
ただ、やはり自宅のパソコンのスペックには限界があり、より劇場用アニメとして、ハイクオリティの理想に近付けるために、皆様のご支援があると非常に助かります。
彼も言っておりますが、奇跡の実現まであと一歩です。
今も毎日、彼と打ち合わせ、納得のいく作りにこだわり抜いています。
そののめり込み方は尋常ではありません。鬼気迫る感じです。
私も容赦なく意見を言います。時にぶつかります。
彼の意気込みはテストムービーからも伝わると思います。
必ずや皆様の期待に応え、素晴らしい作品になると確信しています。
限られた予算ですが、なんとか少しでも理想に近付けたい。
その思いだけです。
何卒よろしくお願い致します。
福谷修(製作・プロデューサー・監修)

2017年1月27日イベント開催決定!
EVENT
“中央線の呪い”を描いた
福谷修先生の幻のインディーズ時代作品
「レイズライン」が15年ぶりに公開!!

伝説のインディーズ映画「レイズライン」上映会~
「アラーニェの虫籠」制作始動&
製作資金応援クラウドファンディング開始記念
(“ホラー・クリエイター”福谷修ד超絶絵師”坂本サクの世界)

レイズライン 日時:
2017年2月8日(水)・9(木)・10(金)

各日 19:00 開場 / 19:30 開映
※上映後にゲスト・トークショー
※会場のエムズ・カンティーナのFACEBOOKで予約可
上映予定作品
「レイズライン」(’02)68分
みちのく国際ミステリー映画祭オフシアター部門グランプリ、他
「坂本サク秘蔵お宝映像集」
「新作アニメ映画『アラーニェの虫籠』最新カット(予定)」

トークゲスト:
2/8(水) 祖父江唯(花有/女優)、福谷修監督
2/9(木) 坂本サク(CGアニメ、VFX/「みんなのうた」「アラーニェの虫籠」監督)、福谷修監督
2/10(金) 柴田一成(プロデューサー/映画「リアル鬼ごっこ」監督)、福谷修監督

レイズライン 会場:

東京・世田谷「M’s Cantina (エムズ・カンティーナ)」
世田谷区 上馬4-4-8 新町駒沢ビル 2F
(東急田園都市線・駒沢大学駅徒歩1分)

料金:1800円(自由席•ドリンクチケット500円込)

ご予約&お問合せ:
「M’s Cantina (エムズ・カンティーナ)」
03-6805-5077(tel&fax)

ご予約フォーム(PC&スマホ)

多部未華子&安めぐみ主演の映画「こわい童謡」や、NintendoDSのホラーゲーム「トワイライトシンドローム 禁じられた都市伝説」等、ホラー作品の監督・脚本を多数手がける。映画監督デビュ...
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