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【あり得ない何かが迫る】チョロロ……チョロ……。 「ふぅ……」

2016年10月29日

『全国の怖い話シリーズ』 福岡の怖い話 『河童(福津市西区)』濱 幸成

-恐ろし屋厳選怖い話-
~恐ろし屋 怖い話シリーズ~
「河童 (福岡市西区)」
著書:濱 幸成
「今日は怖い話をしようか」
高校の授業中、次郎先生はそう言ってこんな話を聞かせてくれた。

次郎先生の親族は、毎年夏になると生の松原でキャンプをするのが習慣になっていた。
親戚一同が集まり、昼は海で泳ぎ、辺りが暗くなってくるとBBQが始まる。

大人達は 酒を飲んでわいわい騒ぎ、子供達は食事が落ち着いてくると花火なんかをして遊ぶ。
年に1回の行事なため、皆日頃の憂さを晴らすかのように騒ぎ明かし、夜も遅くに眠りに就いた。
次の日の早朝、次郎先生はションベンがしたくなり目が覚めた。
テントから顔を出すと、うっすらと空が白み始めてはいるが、まだ大分薄暗く、当時小学生だった次郎先生は1人で出るのがためらわれた。
「ねぇ、起きてよ」「起きてってば」
隣に寝ている両親を起こそうとするも、前日遅くまで飲んでいたため、全く起きる気配がない。
しょうがなく、1人であたりを見回しながらテントからはい出し、波打ち際までやってきた。
薄暗い海は気味が悪く、一瞬ためらいはしたが、尿意には勝てずにそのまま海に向かって用を足し始めた。
チョロロ……チョロ……。 「ふぅ……」
事が終わったその時、数十メートル先の海上に何かが浮かんでいるのに気付いた。
最初は鳥かと思ったが、鳥にしては全く動かない。
(アレなんだろう)
そんなことを考えているうちに、その何かはどんどんこっちに近づいてくる。
しかも、近づき方が異常だ。
それ自体は全く動いている様子がないのに、海面すれすれを滑るようにして近づいてきて、みるみるうちに自分との距離が縮まっていく。
(変だ!普通じゃない!)
そのことに気付いた時には、すでに目の前数メートルの距離まで迫ってきており、あまりの恐さに体が動かなくなってしまった。
(怖い! 来るなっ!)
そんなことを頭で考えるも虚しく、あっという間に距離にして1メートルほどのところにそいつはやってきた。
「あっ!」
遠くにいる時はわからなかったが、目の前にきて初めてそれが何であるのかわかった。
河童

頭にお皿があり、大きなまん丸の目に嘴。
そして、普通想像するような河童よりも、なぜか異様に小さい。
小学生である次郎先生よりもかなり小さく、50 センチほどしかなかったそうだ。
小さな河童は次郎先生と目が合うと 「ヤバイッ!」 そんな顔をしたかと思うと、また海の上を滑ってどこかへ行ってしまった。

ようやく体が動くようになった先生は泣きながらテントまで走っていき、両親をたたき起した。
今起こったことをすべて話したが、「夢でも見たんでしょ」
そう言って両親は取り合わず、翌朝、先生は信じていない親戚一同から笑い物にされたそうである。

-終-
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1989年生まれ。日本全国の心霊スポットを車中泊しながら回った心霊スポッター。小学生時代よりオカルトに興味を持ち、怪談書物を読み漁り、自身も怪談収集をライフワークとする。現在は世界...
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