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事実は小説よりも奇なりを体現するお話。不思議な感覚に襲われる…

2016年10月28日

『魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編』 子供のお部屋編①―非行少女餌食姫

-恐ろし屋厳選怖い話-
~恐ろし屋 怖い話シリーズ~
魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編より「子供のお部屋編①―非行少女」
中学生になる時、私はどんな学校生活を送れるのかな、とか仲がいいお友達ができるのかな、とかきっと楽しい事が待ってるのだろうな、と密かに胸を踊らせていました。
しかし、現実はあまりにも思い描いてたのと違う、忘れられない少しズレた学生生活を送りました。
中学入学時、私は積極的ではなく地味でもっさりしていたので、毎日ただぼぉーっと幽霊のように過ごしていました。

1ヶ月が過ぎる頃には既に女子の仲良しグループが出来上がっておりました。
私はもちろんどこにも入ってなく、いや、仲間に入れてなかったのですね。
だって家が貧乏でお風呂も入ってなくて頭ボサボサで臭かったし、動きはトロいし、中2になってもアルファベットの筆記体が読めないほどバカでしたもの、まぁやられますわよね。

当然の結果として、しょっぱなから女子特有のいじめやハブりが始まりました。
いつも3.4人でつるんでるグループの子たちです。
これ不思議な事にルーレットみたいにターゲットが変わるんですよね。
標的になった子は急におとなしくなったり登校拒否になったりしました。
あ、もちろん私にも回ってきたのですよ、しかも廊下ではっきり聞こえるように次はあいつね!って言われて。
え?漫画かよ、と思いましたが本当に言う子がいるんですよ。
恐ろしい。

主にはシカト、聞こえる陰口、物や教科書をゴミ箱に捨てられる、トイレに入ると不思議な事に天井から水が降ってくる。
という定番な物ばかりでした。

この当時、何度心の中で犬木加奈子先生の『不思議のたたりちゃん』を思い浮かべあいつらにたたりをかけておくれ…!!ノロイカケルくんでもいい、呪いをかけておくれ…!!と願った事か。他にも神田森莉先生や蕪木彩子先生の作品のスプラッターシーンに嫌な奴を置きかえていひひ、ざまぁみろ、なんて妄想したりもしました。
暗い奴ですね。

そんな中でも机に『ヤリマンババア』と油性マジックで書かれた時は、さすがに自分の部屋でロウソク灯して古賀新一先生の『エコエコアザラク』に出てくる黒井ミサ様になりきり壁に五芒星を書きましたよ。 しかも暗闇で光る蛍光モコモコペンというやつです。

これでやつらを呪ってやると思い、指でその蛍光に光る五芒星をなぞりながら呪文をぼやいていたら、視線を感じたので目をやるとふすまからママが不安そうな顔で覗いていたのです。そして目が合った瞬間ピシャッと閉められました。

その瞬間素に戻り、後悔と気まずさに布団の上でのた打ち回ったのは言うまでもありません。

そんな状態でしたので、不登校になりつつ欠席も多くなっていったのですが、街や公園で知り合った他校のお友達が何人かできましたのでそこだけは唯一の救いでした。

でもそのお友達たちは、大人達から見ると、学校にも行かないグレたロクでもない奴等だと思われていたのでしょう。いわゆる非行少年グループってやつです。でも実際はみんな良い子たちばかりだったのですよ。そこではいじめもなかったですしね。

まあだからでしょうか、いつからか私は学校であぶない薬をやっている、窃盗をしている、とまぁ、ない話ない話を噂されてました。
どう見てもヤンキーとかワイルドとは無縁な、見た目モサくて地味な子だったのに。噂って怖いですね。

で、いつものように引きこもっていた午前中にある日、突然学校の先生が私の家にやってきて玄関のドアをドンドン叩きはじめました。しかも長時間。
なんだねさすがに異様だな、と思い仕方なくボサボサの格好のままドアを開けると担任と副担の先生でした。2人はいきなり

「お前、シンナーやってるのか!!出しなさい!」

とすごい勢いで言ってきました。

「お前がこの前学校にきて午前中で勝手に帰った時、トイレで除光液を袋に入れて吸ってたときいたぞ!出しなさい!」

と言われました。
もちろん私は全く記憶にないので

「何ですかそれ…?しかも除光液って…しりません。とにかく私やってません…」

と言ったのですが、担任(女)は

「えじきちゃん…除光液、怒らないから出しなさい?ね?」

としつこく言うし早く帰って欲しかったので、変わってるなぁ、と思いつつ部屋にあった除光液を渡しました。
何で持ってるのかって?だって年頃の女の子だもの、マニキュアとか除光液位持ってるものでしょう。

それにしても、最初はシンナーがなんちゃらとか言ってたくせに何故途中から除光液になったのかは不明です。先生たちは眉間に皺を寄せ、神妙な顔で

「これはお預かりします。」

と言い残し帰って行きましたが、その後学校からは何の音沙汰もなく過ぎていったので、特にこの時は気にしてなかったのです。

そして中3になった頃でしょうか。
あいかわらず私は3ヶ月に1度位しか学校へ行ってなかったのですが、同い年のあずさという子は仲良くしてくれました。

あずさは今風ではないけれど、昭和のおじさん達にモテそうな感じの目鼻立ちのはっきりとしたちょっとエキゾチックな顔立ちの子です。好奇心旺盛で、怖いもの知らずで何でも首を突っ込むという、ちょっと危険な性格でした。

あずさは私が学校に行かないと自分も学校をサボり、私の家の部屋に入ってきてはゴロゴロ漫画読んだりしていました。

ホラーMとか恐怖の館とかホラー漫画しかなかったのですが。むしろコレ面白いよ、とにやにやしながら強制的に読ませていました。よく嫌われなかったなと思います。

そんなある日、あずさは私に何気なくこう言ったのです。

「ねぇ、テレクラにかけない?」

「え?何??」

「男の人と電話してお話するんだよ、うまく話が合えば会ったりするらしいよ。」

あずさは私の家の電話の子機を勝手に持ちだしてきて、カバンからメモ帳を取り出すとパチパチと手早く掛けはじめました。
いつどこでメモってきたんだ、と思いましたがそこはツッコミませんでした。

でも今思い返すと、当時あちらこちらの電信柱にテレクラのポスターが貼ってあったんですよね。
教育に悪い。
その後、あずさは楽しそうに何時間も話しこんだり、何が楽しいのか掛けまくってました。聞いてると

「じゃあおじさんは何色のパンツ履いてんの?」

とか、

「私もそういうの好き、ウフフ」

などとと言っちゃってるあたり、まともな会話はしてないんだろうなというのはわかりました。

その日はそれで終わったのですが、それからしばらくするとあずさはばったり姿を見せなくなりました。どうしたのかな?と気になりましたが、私の方も相変わらず学校に行けず部屋でこもってたので事情は全くわかりませんでした。

そんなある日、突然あずさから電話がかかってきたのです。

「あ、えじき??あのね、今からカラオケに行くんだけど、今から来てよ。すごい面白いからさ。待ってるからね。」

それだけ言うと、一方的に切れました。
なんて勝手なやつだと思いつつも、毎日こもってばかりだからなのか誘われたのが嬉しかったからなのか、気付くと私はくつを履いてあずさの元へ向かっていたのです。

言われたカラオケボックスに近づくと、遠目にセーラー服姿のあずさ、隣に見たこともないおじさんが立ってます。なんか危ない絵です。
あずさは私に気付くと

「えじき~!こっちこっち!!」

と大声で呼びました。私が近づくと、あずさはニコニコしながらそのおじさんを紹介してきました。

「この人ね、木藤さんっていうの。」

見ると30代後半~40代くらいの、スーツに茶色いトレンチコートを着たサラリーマン風です。にんじんみたいに異常に長細い顔で、アゴがえんぴつの先みたいにとがっていました。

「あ~!こんにちは。僕、あずさちゃんとは何度か2人で遊んだりしてたんだよ。君と仲がいいって話が出て、じゃあ3人でカラオケでもしようか、て話になってこうなったんだ。」

と満面の笑みで言いましたが、お前誰だよって感じだったので、無言でいたのですが、行こう行こうと言う2人に、私は全く状況が飲み込めないままカラオケに連れて行かれたのでした。

部屋に入ると、リーマン木藤はいきなりマイクを取ってSHAZNAの“Melty Love”を歌い出しました。
しかも歌い出しの

Melty Love~Melty Love~♪

の部分が気に入らなかったのか、何度も『演奏はじめから』のボタンを押し、

Melty Love~Melty Love~Melty Love~♪

と目を瞑りながら歌っておりました。
ないな、と思いあずさの顔を見ると、あずさも微妙な顔をしていました。
その1曲目を歌い終わる途中で、私はあずさの耳元へ

「なんだこの変なおじさんは!明日、話聞くからもう私は帰るよ!!」

と言い残し部屋を出ました。一応振り向きましたが、あずさはごめんのポーズをしてるだけでした。

家に帰ってから何だったんだいまのは…彼氏にしては年が上過ぎるだろうに、なんて色々ともんもん考えていたら、もしかしてこの前のテレクラで知り合った人かな?と思いはじめました。

鈍いです、何であの時気づかなかったのだろう?
ほんとは変なおじさんだったんじゃないか?とだんだん心配になってあたふたしてたら、あずさが私の部屋の窓をゴンゴン叩いて入ってきました。

「ごめ~ん、今さっき別れて走ってきたよ。あの人さ、遊ぶとお金くれるんだよ、へへ」

なんてぬかすものだから、びっくりしますでしょう。
あんた、それはまずいでしょう、とお伝えしても「大丈夫大丈夫~」
と聞く耳持ちません。もう知らんぞ、と言ってもあずさは

「平気平気、ふふ♪」

と笑って帰って行きました。
そしてさらに何週間かたった頃でしょうか…。
ここから私のプチ不幸、魔界めぐりぐるぐるどんぶらこの連鎖がはじまったのです。

ejikihime
ホラー映画と漫画とハロプロとウサハナが好きな変態です。体験手記『魔界ぐるぐる巡り』を模索舎さまにて販売させて頂いてます☆普段はオカメインコと暮らしながら時々呪みちる先生のお仕事の...
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