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2016年10月28日

『魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編』 子供のお部屋編③―入所餌食姫

-恐ろし屋厳選怖い話-
~恐ろし屋 怖い話シリーズ~
魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編より「子供のお部屋編③―入所」
校長室のような部屋から出ると、内藤と佐藤は「えじき、がんばれよ」と言い残し帰っていきました。

一体何?これから私はどうなるの?などと考えている私の所へ、つかつかと女の人がやってきました。髪を後ろに一つに結び、ポロシャツにベージュのスラックス姿、40歳くらいで痩せた、目つきの鋭い体育会系の怖いおばさんという印象です。

「新人か?私は水木だ。こっち来な」

水木と名乗ったその女の人は、ここで私たちの生活全般を監督する指導教官でした。水木先生は私を更衣室に連れていくと茶色いカゴを渡しました。

中を見ると白いぱんつとワイヤーなしのスポブラみたいな物と、紺のチェックのネルシャツとデニムの半ズボンが入ってました。下着も含めて全部一度誰かが着た古着のようでした。

「ほら早く着替えな。私物はいったん全部預かるからカゴに入れろ。退所する時に返すからな」

そう言うと水木先生はカーテンを閉め、向う側に立ちました。私はなすがままに着替えてたのですが、ずっと心の中で何だ何だ、何でこんな事になるの…?!とまだ状況が理解ができていませんでした。
今でも理解できてないですが。

ちなみに履いてから気付いたのですが、白い綿のぱんつにはひまわりのワンポイントが付いてました。
着替え終わると、今度は更衣室の前にある流し場のところで髪の毛を黒染めすると言われ座らされました。
この時、私は茶髪でした。前にあずさに、「うまく染まるか練習させて」と言われ染められたのです。

「覚悟しろよ~?」

水木先生は『白髪染め・元禄』みたいな染め粉を水で解くと、嬉しそうにベタベタと頭に塗り始めました。
私は染められるのはよかったのですがおでこの生え際に黒い液体がめとめと付いてくのが気になってしまい、これ落ちるのかなぁと心配になっていきました。

全部べったりと塗り終えたところですぐにシャワー室で流しました。特に染粉のついたおでこはゴシゴシ、念入りにこすりました。
が、出てきたところで鏡を見たら見事におでこの所に黒い跡が幅広く付いてました。これじゃあでこがせまいのがよけいせまく見えるじゃねぇか!あんなにゴシゴシしたのに!!とそれはもうものすごく落ち込みましたね。
で、とぼとぼ水木先生のところへ行くと先生は

「よし、うまく染まったな」

と満足そうな笑顔でした。
え?ですよね。
その後、建物の中の女子寮?みたいな所へ連れていかれました。先生が号令をかけるとそこにいた全員がどどっと集合しました。
集まった子たちを見回すと、下は6歳位から上が16歳位まで。年齢がばらばらでびっくりしました。

「今日から入ったえじきだ。みんなわからない事あったら教えてやるんだぞ?」

水木先生は一言だけ紹介するとどこかへ行ってしまいました。
一人残された私はどうしていいかわからず、あわあわしてると目の前に同い年くらいの女の子が来てスーっと右手を差し出しました。

「私は沙希。よろしくね」

「えじきです、あ、ありがとうよろしゅくです」

私があせって握手をすると、沙希はにっこり笑いました。
でもこの時、初めて自分が置かれている状況がわかった気がして、地味に悲しくなりました。ああ、とりあえず今日はもう家に帰れないんだな、と。
そんなプチショックにしばらくボーっとしていたら水木先生に呼ばれました。行くと、先生は私に空のシャンプーボトルをくれました。

「…これを1人につき1本だ。月に1度だけ補充する。ホラ、貸しな」

そう言うと、そのボトルにリンス・イン・シャンプーみたいな物をドボドボ入れました。どうやらこれで1ヶ月うまく使いこなしなさいとの事なのでしょう。途中で足りなくなったら水で薄めて使えとの事でした。

ちなみにこのシャンプーは2週間位でなくなり、後は延々とお湯と石けんでたくましく洗ってました。おかげで髪の毛がわら人形みたいにゴワゴワになりましたが。
その後夕食はみんなで整列してから大きな食堂へと行きました。食堂は女子と男子と別れていたのですが、もし女の子が男子の方を見ようものなら

「コラ!見るんじゃない!」

と、すぐさま先生に怒鳴られました。え?それだけで怒られるの?何ここ恐ろしい、って思いました。
食事は基本残してはダメなので、好き嫌いが多かった私には厳しい試練でした。

またも運が悪かったのか初日から1番嫌いな生トマトが出てきたのです。うええええええ、どうしよう、と白目を剥いていたら隣に座っていた沙希が「嫌いなんでしょ?食べてあげるから私の納豆食べてよ」
って言われ先生の目を盗み交換してすぐ解決しました。この時沙希が天使に見えましたね。

食後は女子寮に戻り8時から9時まで自由時間みたいなのでプレイルームというお部屋に行きました。
見回すとテレビを見ている子、絵本を読んでる子、談笑している子たちがいました。私はとりあえず空いてる席に沙紀と座りました。座るや、

「ねええじきちゃんさ、気になってたんだけど…そのデコ何で黒いの?」

と沙紀に聞かれ、そういやそうだったと自分の姿を想像し恥ずかしくなって黙っていると、

「ごめん。…ところでえじきはさぁ、何でここに来たの?あ、でもこれ聞くのはここでは禁止だから内緒ね」

え?聞いちゃいけないんだ、知らなかった。

「…私、何でここに来たのかはわからないんだよね、ほんとに。何か警察にだまされたって感じがする…明日事情聴取みたいなのされると思うから聞いてみるけどね。で、沙希は何でここに来たの?内緒だけど」

「ああ、私?…カツアゲとか窃盗とかかなぁ…よくわかんないけどさ。」

沙希は事も無げに言いました。むむ、カツアゲとか窃盗ですか…でも私だって、援助交際と売春斡旋の濡れ衣を着せられてるみたいなんだよなあ…

「ちなみに私は1週間前に来たから、えじきよりはここの事わかると思うから、わからない事あったら何でも聞いてよね。でも毎日がだるくてえじきもすぐ嫌になるよ…」

それ以上はあまり話そうとしなかったので、私も聞きませんでした。でもすぐにスっと立ち上がり、こっちを向いていたずらっぽく笑いました。

「あのさ、そんな事よりちょっとおいでよ」

私は沙希に手を引っ張られトイレにつれて行かれました。
沙希はトイレにある小さい小窓(3/1くらいしか開かないようになってたのですが)を開けると、そこから手を出し外から何かを引っ張り出しました。

「ほら見て」

見ると、それはつぶれた『キャビン』の箱でした。
「これね、入所する時ブラの中に隠して持ってきたんだよね。だってブラの中までは調べられないでしょ♪」
なんちゅう子だ、私は思わず冷や汗をかきました。

「これ…タバコ?」

すると沙希は箱から1本取り出すと、中からマッチを出し火を付けました。

「ただのタバコじゃないんだよ。…これ、魔法の葉っぱ入りなんだ。」

と言いつつ、目を瞑りながらもくもくと煙を噴き上げました。魔法の葉っぱ…もはや私は何も言えませんでした。
しかし2.3口吸うと、窓のレールの所で消して再び箱を窓の裏側(外側)に隠しました。

「そんなとこに隠してばれないの?」

と、一応心配して言ったのですが、

「1階じゃないので大丈夫。」

との事でした。私がずっと呆気にとられていると、

「ふふ♪えじきも吸いたかった?こうでもしないと自分がもたないんだよね。」

と沙希は笑顔で言ってきましたが、目は虚ろでした。中々の…病み具合です。
そうこうしてる間に自由時間が終わり、就寝時間になったのでパジャマに着替えました。部屋は4つぐらいあって1部屋4~5人で割られていました。
9時になると部屋の電気が消され、ふいに私は思い出したように布団の中で気が緩みものすごい勢いでうわあああんって泣きました。

何でこんなとこにいなきゃいけないの?

何でママは迎えに来てくれないの?

と怒りと不安で訳がわからなくなってました。
漫画やドラマとかならこのまま朝まで泣き続けている所でしょうが、10分後には爆睡してました。まぁ現実そんなものです。
こうして私の児童相談所の入所初日が終わったのです。
ejikihime
ホラー映画と漫画とハロプロとウサハナが好きな変態です。体験手記『魔界ぐるぐる巡り』を模索舎さまにて販売させて頂いてます☆普段はオカメインコと暮らしながら時々呪みちる先生のお仕事の...
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