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-恐ろし屋厳選怖い話-~恐ろし屋 怖い話シリーズ~ 魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編より「子供のお部屋編④―入所 […]

2016年10月28日

『魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編』 子供のお部屋編④―入所2日目餌食姫

-恐ろし屋厳選怖い話-
~恐ろし屋 怖い話シリーズ~
魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編より「子供のお部屋編④―入所2日目」
次の日、目が覚めたら周りの子たちが布団をたたみはじめていたので、おや?もう起きる時間かね?と思ったらまだ6時でした。
聞けば起床時間は6時で布団をたたんだり着替えをしたり歯みがきして6時30からは食堂へ行って朝食するとの事でした。

食堂は大きいホールみたいになっていて、でかいテーブルが2個あってそこで男子女子と別れて食べるのです。
食事量は個々にどの位食べれるかを入所時に伝えます。すると席に少量、普通、多め、のシールが自分の席に貼られるのです。私はもちろん多めのシールでした。

食事は朝はパンとかフルーツとか納豆ごはんとかよく出たのですが、意外とおかずとかも味がびっくりする位どれも美味しかったです。生トマト以外は。けど嫌だなと思ってたのがいけないのか3日に1度は生トマトが出てきました。
そういうもんですよね。

食後は8時15分からお勉強の時間でした。
みんな1つの部屋で勉強するので、それぞれ学年に合ったプリントが配られました。

私はこの時中学3年生でしたのですが、学力が乏しいとの事で小学校高学年位?のレベルの物を用意してくれました。それでも先生にびっくりされる位点がとれませんでした。
しまいにはお前日本人だよな?と真顔で聞かれ、残念ながら…と小声で言ったらと残念だよ、と小声で返されました。失礼しちゃう。
その後、先生が教室からいなくなるとみんながお話をしたりし始めました。
私はひとりで問題に悪戦苦闘してると隣の席の子が話しかけてきました。
その子はリオちゃんと言って私とタメ年、茶髪のおかっぱの子でした。

「ねえ、その髪の毛とてもきれいだけど…よく先生に染められなかったね?」

私が聞くと、リオは茶目っ気いっぱいに舌を出して答えました。

「ふふ♪ 私ね、頭に怪我してるから染められなかったの。ラッキーでしょ?」

「へえ、そうなんだ、怪我してると染められないんだ。でも大丈夫なの?」

「うん、今はね。でも天候によってたまに痛くなるの。」

「どうしたの?事故?」

「ううん、レンガで殴られたんだ」

!?

「…けど大丈夫。でもさ、私早くここを出たいよ。…そうだ、ねぇえじき、脱走しない?本気で。」

脱走?いきなり??私なんか、まだ何でここにいるのかもわからないのに。私がびっくりして黙っていると、リオはふうっと息をついて遠くを見るような眼で言いました。

「…だよね。無理だよね、ここ窓開けると鉄格子付いてるしベランダも開かないし。建物の外出れても金網が張り巡らされてるしさ」

「…そんな厳重なんだ、知らなかったよ」

「そうだよ。前にやっぱり脱走した子達がいて、見つかった時はすぐに教護院に送られたらしいよ」

「教護院?」

「知らないの?ここに来た子達は教護院に行くか、施設に行くか家に帰れるかのどれかなんだよ。教護院はこことは比べものにならないくらい厳しいらしいよ。年少(少年院)よりちょっとましな程度」

「な、何か恐ろしくなってきたよ。私も帰れるのかな…」

「帰れるよ、きっと大丈夫。お互い早く出たいよね…話変わるけどさ、ここで貸してくれた服もダサくない?えじきちゃんの着てるネルシャツもかなりやばいよね?ウケんだけど」

私はここへ入所してきた時もほぼ色違いのネルシャツを着てました、なんて口が裂けても言うまいとすかさず笑ってごまかしました。

「あはは、ほんとだね、だれがこんなの着るんだよって感じよね(私だよ)。」

「ほんとだよ~早く自分の服着たいねマルキュー行きたい~」

なんて会話してると、水木先生が入ってきて私に言いました。

「おいえじき!一緒に来い」

私はそのまま先生に1階にある個室へ案内されました。
そこにはサーモンピンクの変なスーツを着た、学校の先生ともお医者さんともつかない謎のおばさんが座っていました。

「かけなさい」

サーモンおばさんに言われ、私はおばさんの前に座りました。
サーモンおばさんはさっそく机に何枚かの絵を並べてみてこれはどう思う?とかこれは何がおかしい?とか色々聞いてきたり何故か積み木をさせられたりしました。そして10分位質問攻めにされ、終わりました。

後から他の子に聞いたら心理テストみたいな物だったらしいのですが、はっきり言って内容はつまらなすぎて覚えていません。
それが終わると隣の部屋に連れて行かれました。そこには私を連行した警察の内藤と佐藤がいました。
私はここぞとばかりに二人に猛烈に抗議しました。

「これ一体どういう事ですか?何で私がこんな所に入れられなきゃいけないんですか!なんで帰れないんですか?あの時すぐに帰れるって言ったじゃないですか!」

内藤はじろりと私を見て言いました。

「ああ言ったよ。だけど、お前は色々やってるそうじゃないか。大体、おまえ学校に行ってないだろ。なんで学校行かないんだ。だめだろが。こんなことやってりゃな、いつかはこうなるんだよ。自分でもわかるだろ?」

また警察嘘つくし。しかし『学校に行ってない』はともかく、『色々やってる』とは?また勝手に私が何かしたことになってるんだろうか?
かまわず、私は次の質問をしました。

「ママは?ママは何でこないんですか?」

「1週間位しないと面会はできない」

ええっ?そんなの聞いてないよ!

「色々手続きとかあってな、それに、そういう決まりだから」

佐藤が口をはさんできました。

「えじき、少し頭を冷やしなさい。ここでよく考えるんだ。今までどれだけ周りに迷惑をかけてきたか、をな」

それだけ言うと、二人は帰っていきました。
私はその後、のおおおおおお~!!!何でこんなことになったんだろう…ううう…とない石を蹴るフリしながら屍のように女子寮に戻っていきました。
でもお昼ごはんがおいしかったのですぐに元気がでました。

午後からは少し勉強してからシャワーの時間になりました。シャワー室は少し大きめな感じでシャワーは2つありました。しかし1人づつしかはいれないので順番に入ります。

ちなみにシャンプーはリンスインでしたが、ボディーソープはなかったので配られた白い石けんを使いました。
そしてシャワーを出た後は、そのまま流しで自分の汚した洋服や下着を洗います。しかも先生に渡されたのが洗濯板でした。

「これ、桃太郎の絵本に出てくるおばぁちゃんが持ってたやつですよね。どうやるんですか?」

先生はこれまた当然のように言いました。

「その板でゴシゴシ、自分の石鹸で洗うんだよ。何事も経験だ。」

そうかと思い、見ると隣の小学1年生の子も一生懸命よいしょよいしょとがんばっていたので、よし、と試してみるものの上手く洗えず異様に疲れるのでいつもめんどくせ、とあまり洗わないでいました。
洗濯後はまたお勉強です。お勉強が終わるとお掃除、面会がある子は面会に行き、そのあと夕食となります。

夕食後は自由時間です。その日の自由時間の時でした。テーブル肘をついて沙希とお話していたら、すぐそばで中1ぐらいのメガネをかけた女の子が膝を抱えて床にうずくまっていました。

「どうしたの?」

私がたずねると、そのメガネの子はいきなり泣きだしてしまいました。

「…私はもうおうちに帰れないの。ママが、私の事もういらないって言ったんだって。だから明後日には施設で暮らす事になるの…」

そう言って涙をぽろぽろ落として泣いていました。私と沙希は言葉が出ず、ずっとなでなでする事しかできませんでした。
こんな話、漫画とかドラマの世界としか思ってなくて、心の中でここは一体どんな所なんだろう?と本気で色々考えてしまいました。
いろんな事情があるにせよ、この子には何も罪もないのにこんなに悲しい思いをしていいのか、もし自分がこの状況だったらまともでいられるのかな、とか子供ながらやるせない思いをしました。

それでも一緒に生活をしてる仲間なので、他人事とは思わずにお互い何かあったら自然と一緒に泣いたり共感したりし合うのです。すごく不思議な連帯感でしたね。
こうして2日目の夜も忘れられない日になりました。

ejikihime
ホラー映画と漫画とハロプロとウサハナが好きな変態です。体験手記『魔界ぐるぐる巡り』を模索舎さまにて販売させて頂いてます☆普段はオカメインコと暮らしながら時々呪みちる先生のお仕事の...
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