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施設には色んな子がいました。元気な子、元気ない子、ちょっと百合な子…

2016年10月28日

『魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編』 子供のお部屋編⑤―集団生活-前編-餌食姫

-恐ろし屋厳選怖い話-
~恐ろし屋 怖い話シリーズ~
魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編より「子供のお部屋編⑤ー集団生活-前編-」
施設には色々な子がいました。
特に印象に残っているのは、2人の姉妹でした。
お姉さんはアリサという名前で見た目はちょっとぽっちゃりで内気そうな小学6年生位で、妹はマリアという名前で見た目ガリガリのすごく気の強そうな感じの小学3年生くらいでした。
この姉妹はいつも一緒にいて、他の子たちとのコミュニケーションはとりませんでした。
ある時、私も何度か話しかけた事があったのですが、目も合わさず話しかけないでオーラ全開でしたのであまり近寄れませんでした。
その場面を見ていた茶髪のリオが私に近づいて話しかけてきました。

「ねぇ、何であの子達に話しかけるの?シカトされるから話しかけない方がいいよ」

「何で?」

「だってあの子達は私たちみたいに変な事して入って来た子の事、見下してるんだよ」

「変な事?…そっか…でも何でだろうね?」

「よくわかんないけどもう退所しちゃった子から前に聞いた時は、あの子たちのお母さんは死んでもういないんだって。で、お父さんに連れて来られたらしいんだけど、じっさいはここに捨てられたようなもんで、まあかわいそうな事情 はわかるんだけどあの態度はないよね。自分らは非行で入れられたんじゃないぞって事で、なんか優越感みたいなの持とうとしてるのかな?」

「わからんのう」

そんな会話をしてると妹のマリアがこっちを睨んで

「ちょっとうるさいんですけど!勉強ができません!」

と怒鳴ってきました。

「何で?今休憩中なんですけど!」

即座にリオが鋭く言い返し一気に険悪ムードが高まりましたが、すぐに先生が教室に戻ってきたので喧嘩にはなりませんでした。私はおっかないのでもうこの姉妹に話しかけるのはやめておこうと誓いました。

そして1週間位たつ頃でしょうか?
やっとママとの初面会ができる事になりました。
先生は1週間ごとに当番が代わるのですが、今度は髪型とか体系がマリリンモンローみたいな感じの人で、優しい先生でした。
そのモンロー先生に、

「えじきさーん、行くわよ」

と言われ一緒に1階へ下りて、面会室に入るとママが座っていました。
モンロー先生はおじぎをするとゆっくりドアを閉めました。この時10分位ですがママと会話できました。
私は何から話していいかわからず、ドアが閉まると同時に泣きながら、

「ママおそい~何でよ~帰りたい~」

と涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔で言いました。ママも何故私がここに入ったのかわからないとの事でした。

「でもさ、結局私しばらく出れないんでしょう?」

私が言うとママは

「うん、何度も返してと言ったけど警察側からはそれはできませんって言うのよ。手続きがなんたらとか、娘さんにとってもいい機会なんじゃないかとかね。…そもそもね、えじきちゃんが学校に行かないからこんな事になるのよ。ママが 言ったって全然行かないし。それにあんたは要領が悪いし、いつも運が悪いんだよ」

とごもっとな意見を言われたので、そうですね、はい、しか言えませんでした。
当時、ママは私と妹を育てるために2件も仕事をかけもちして朝から晩まで働いていたのです。なので、今思い返すと理由はなんにせよママにはほんとに大迷惑をかけてしまったと、思い出すたびに体がかゆくなります。

「まぁ次の休みの時にでもまた面会にくるから、も少しがんばりなさいよ。」

と、ポジティブにママに言われたところで面会時間がおわりました。
この時、あらためてもう1ヵ月は出れないんだなと思い、私なりにしぶしぶと覚悟を決めたのでした。

それでも集団生活を1週間位すぎた頃には、もうだいぶ生活に慣れ、なじんできました。たった1週間くらいしかたってないのにもう何ヶ月もいる気がします。ただでさえこの頃ってゆっくり時が進んでいく気がするのに、嫌だと思うからか余計に長く感じるんですよね。
そしてある日、いつものように授業をうけて夕方の掃除をしていた時の事です。
食堂の掃除当番でモップを絞り、のそのそ床を磨いていたら、うしろから茶髪のリオが

「えじきちゃんっ」

と声をかけてきたので

「なぁに?」

と振り向いたとたん、突然接吻してきました。接吻です。
え?何事じゃ?と思い固まっているとリオが

「えじきちゃんてば、かわいい、ふふ♪」

と、リズミカルに弾みながらどっか行きました。私はなんだこの漫画みたいなシチュエーションは。やっぱりここは普通の所とはちょっと違うんだな、と少し動揺しましたが、元々あまり深く考えない性格なのでまぁ…いいか、とそこまで気にしていませんでした。
しかしその日の夜です。寝る部屋のグループもリオが一緒なのですが、就寝後いきなり私の布団に手を潜らせてきました。
私は一瞬わからずひぃぃぃぃぃ!!おばけ!!っと思い横を向いたらリオだったので

「どうしたの?」と小声で聞いたら

「さっきはごめんね、でも私えじきちゃんの事好きだよ」

と言ってきたので

「サンクス、おやすみ」

と言い寝ようとしたら突如私のあるかないかの胸を触ってきたので、こらこらと思いなだめながらその手をとってつなぎながら眠りました。
世の中にはいろんな子がいるもんですね。
しかし次の日、リオは忽然と施設から姿を消しました。
先生に聞くと、それはあなたに関係ない事ですと言われました。退所したのか、別の施設に移送されたのかもわかりません。そしてあの晩、なぜリオが私にそんな事をしたのかも今となっては謎のままです。
でもこれだけは鮮明に覚えています。女の子の唇はやわらかい。

そして10日位たった頃、『みんなで海へ行こう』という行事がありました。
私は誰が決めたんだよ何て余計なイベントだと思いましたが、そんな事も言えず行くはめになってしまったのです。
当日、朝から全員シャワーを浴びさせられました。水着を着るからとモンロー先生が希望者1人1人にカミソリで腋毛を剃っていました。
私がシャワーを浴びてる時も先生は手にT字カミソリを持って入ってきました。

「あなたは剃るの?」

「あ…じゃあお願いします」

「そうよね?女の子だものね、ほら、腕上げなさい?」

先生は私の脇に刃を当てて2度程ショリショリしました。

「はい、終わり」

「?!え?もうですか?すごい剃り残しがあるんですけど…カミソリって自分でやっちゃだめなんですか?」

「だめよ、生徒には刃物を渡しちゃいけない事になってるんだもの、我慢してちょうだい。」

それは自傷行為や凶器に使われたりするのを防ぐための規則で当然と言えば当然なんでしょうが、ここは家とは違うぞという事はこういう所からもひしひしと感じました。

「じゃあ先生は出るわよ」

そう言うとモンロー先生は無情にもシャワールームから出て行ってしまいました。私はしょぼんとしながら床に落ちてる自分の腋毛をシャワーで流していました。
しかし何故腋毛だけだったのか、何故脚や腕の毛は1本も剃ってくれなかったのかは謎です。
そしていよいよ貸し切りバスへ乗っておでかけです。

ejikihime
ホラー映画と漫画とハロプロとウサハナが好きな変態です。体験手記『魔界ぐるぐる巡り』を模索舎さまにて販売させて頂いてます☆普段はオカメインコと暮らしながら時々呪みちる先生のお仕事の...
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