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2016年10月28日

『魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編』 子供のお部屋編⑥―集団生活-後編-餌食姫

-恐ろし屋厳選怖い話-
~恐ろし屋 怖い話シリーズ~
魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編より「子供のお部屋編⑥―集団生活-後編-」
バスは女子だけで乗り、後ろと前には先生が乗っていました。私の隣は仲良しの沙希でしたが、日差しが大嫌いだったので、着くまでは顔にシャツを被せていました。

今考えると、これは学校でいう遠足のようなレクリエーションの一種だったんでしょうが、私は全然楽しくありませんでした。理由は学校のような集団行動が大嫌いだったからです。本当なら、規則だらけの保護所から脱出し息抜きができる楽しい行事のはずだったんだと思うのですが。

何故か途中バスの中でカラオケ大会が始まったのにはびっくりしました。入所後、まだ一言も話していない1つ年下の浅黒い肌のロングパーマのカナダ人と日本のハーフのセーラという子がいたのですが、この子だけがカラオケを先生たちと歌いました。

しかもマイクは地味に昔のおもちゃ『歌って点太くん』みたいでとても気になりました。
セーラは何を歌うのかと思いきやいきなりカーペンターズの〝Top of the Word〟を流暢な英語で歌いだしました。
私は純粋にすごい英語うまいのう…なんて心の中で思ってましたが、見渡すと先生以外誰も手拍子してない上、みんな興味なさそうで暗い雰囲気充満していたのでセーラも歌い終わるともういい…と歌いませんでした。
先生は気まずそうにマイクを片付けはじめました。

海へ着くと、更衣室で水着に着替えました。紺のスクール水着みたいな物でした。みんなはさっそく海辺へ行きパシャパシャ足につかったり、沙希は1人で波打ち際で遊んでいましたが、私は海があまり好きじゃなかったので、ビーチパラソルの下で先生たちの隣でぼーっとしていました。

2時間位するともう帰るよとまたバスに乗りましたが、帰りはほとんど眠っていたので景色は見ませんでした。
ちなみに何処の海へ行ったのかは全く記憶にありませんが、あんまり楽しくなかったのだけはよく覚えています。

2週間位たつといろんな子の性格とか行動とかがわかってきます。
食後にかならずトイレで嘔吐する子や、誰と誰が仲が悪いとかがわかったり、影で髪の毛を抜いている子がいたりしました。
先生は気づいていたのでしょうか。
私はそんな光景が当たり前になってしまい不思議な事に何も感じなくなっていました。幸いいじめとかはありませんでしたけどね。

こんなこともありました。
ある夜、突然隣の部屋から悲鳴が聞こえたので、みんなで見に行くと女の子たちが映っていないテレビを指差して泣いていました。聞けば、

「黒い人間が画面の中で動いた!」

なんて言ってるのです。
言い忘れましたが、ここではテレビは自由に見れません。テレビが見れるのはプレイルームという大部屋で、しかも夜の8時から9時までの1時間だけと厳しく決められてました。だからこの寝室にあるテレビは単なるインテリア⁽?⁾として置いてあるだけで、電源も入りません。

「電源が入らないんだから、映る訳はないだろう。」

とテレビの後ろを見たら、ばっちり『御札』が貼られていて、先生も一緒にびっくりしていた、なんて出来事です。むしろ私はテレビなんて部屋で観れないのだから置かなきゃいいのに!って思ってました。

しかし私の寝ている部屋でなくてよかったです。
ちなみにその部屋の押入れの内側にも『御札』が貼られていたそうです。
ここまでくると誰が何のために貼ったのか気になりますよね。結局謎でしたが。

そんなこんなで3週間位したある日、美加子という子が入ってきました。
美加子は年下でしたが、私より背が高く、痩せてて色黒で、眉毛がありませんでした。
話してみると、ケンカしたりバイク盗んだり、聞くだけでもとてもやんちゃな子でした。が、なぜか私になついてくれてすぐ仲良くなりました。
2,3日してその美加子が

「ねぇ、えじきさん、男子寮にすごい気になるやつがいるんすよ、昨日体育の時間に男子の上履きのとこの名前見たら佐々木って書いてあって、ちなみに仲がいいのは加藤ってやつです」

と熱く嬉しそうに話してくれました。

「おぬし、すごい調査力の持ち主だな。で、その佐々木くんとやらに接触したいのかい?」

「そうなんすよ、でねあたしだけじゃ恥ずかしいから、佐々木君と加藤君宛てにうちらの名前と番号と自己紹介みたいなひと言と、『外に出れたら遊びませんか?』て書いて靴の中に入れたろうと思うんすよ。えじきさん、何かひと言考えて下さい、お願いですっ」

「いいけど…でも見てないから2人とも顔わかんないよ」

「明日の朝食の時に見てみてくださいよ、ちょーかっこいいんです!」

という事になり、2人でプリント用紙を少し破ってこう書きました。

“こんにちは、今度外に出れたら4人で遊びませんか?
私たちは中二と中三で、好きな食べ物はスイカです♪
番号は×××-×××です。
☆美加子&えじきより”

…今思い出すと枕を2,3発ぶんなぐって布団にダイブしたくなりますね。
そして次の日の朝食の時、美香子が小声であそこの2人ですよ、と教えてくれたので先生にばれないようにさりげなくチラチラと見てみました。
そしたらその佐々木くんとやらは細くて色白の…その、なんというか蚊みたいな印象でした。加藤くんは前髪が長すぎて目が1ミリも見えませんでした。

「……なんか全然よくわかんないけど、そんなにいいかな?」

「やばいっす、今日の体育の時間に絶対メモいれますよ」

私は影ながら応援しようと思いました。
そして体育の時間になった時、美加子は帰りに他の子と先生に気づかれないよう、さりげなく佐々木くんの靴の中に入れる事に成功しました。美加子は飛び上がって

「うわぁぁい、やったやったやりましたよ!これでうちらは共犯ですよ。いしし♪」

なんて、眉毛のない顔で嬉しそうに笑うものだから、私もしょうがないなぁ、もうかわいいやつめ、なんて微笑んでました。
その何日か後でしょうか、体育の時間に美加子がそわそわしてるのでどうしたんだろうと思っていたら、なんと佐々木くんから美加子の靴の中にお返事があったとの事で、休憩中に教室の後ろのほうで2人でメモを開いてみました。
するとこう書かれていました。

“お手紙ありがとう。ぜひみんなで会いましょう。
僕の番号も書いて置きますね。
×××-×××佐々木、
加藤より”

当然美加子はものすごく喜んでましたが、次にそのメモの書かれた紙をどうするかが問題になりました。とにかく見つかったら大変な事になりそうだったので、美加子が佐々木くんの番号を暗記し、メモは破いてトイレに捨ました。

しかしです。次の日に大問題が起こってしまったのです。
こっちは慎重に証拠隠滅していたのですが、ばかなことに佐々木君は美加子と私の書いたメモを処分せずに持ち歩き、あろうことか男子トイレの前で落としてしまったのです。しかも、それを運悪く先生に拾われてしまったのでした。

その時の女子寮の当番が猛烈に怖い鬼瓦先生(女)という方だったので、この話を聞いた時はおしっこちびりそうでした。
さてその日の午後、私と美香子は鬼瓦先生に呼び出されました。

「何でここに呼ばれたかわかるよな?」

「はい、すみません。私です。」

「いや、私から言いました。」

「どっちがどっちとかどうでもいいんだよ。やった事には変わりないだろう!それにえじき!お前は中3にもなって何で年下の奴にダメだとか教えれなかったんだよ。美加子も何でこんなルールを破るような事するんだ!」

鬼瓦先生に怒鳴られて私達は何も言えなくなりました。

「もういい、ルールはルールだ。お前達は今日から7日間反省生活だ。毎日勉強と体育館で100周走るのをきっちりやれ。そして私語は禁止。先生以外は誰とも話す事を禁ずる。寝るときは2人とも部屋ではなく、教室に自分の布団を持っていって寝るんだぞ。わかったな!」

と言われ私と美加子は無残にも反省生活を送る事になりました。

ejikihime
ホラー映画と漫画とハロプロとウサハナが好きな変態です。体験手記『魔界ぐるぐる巡り』を模索舎さまにて販売させて頂いてます☆普段はオカメインコと暮らしながら時々呪みちる先生のお仕事の...
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