流れ流され、たどり着いたのは”居酒屋”??ようやく住み込みのバイトができると思いきや……。

2016年10月29日

『魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編』 異世界編④―変な居酒屋編~変な家編

-恐ろし屋厳選怖い話-
魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編より「異世界編④―変な居酒屋編~変な家編」
着いたところは一見普通の居酒屋でした。
既にこの時点で「ろくろ首県」から隣の「垢嘗県」まで来ていました。
そこはさらにさらに田舎で、周りはだだっ広い田圃と道路だけで、人家もまばらな所でした。

私と直美はマスターに案内され中に入りました。
店内はちょっと広めの居酒屋風スナックという感じでした。
ぼうっと突っ立てると、奥の厨房から、黒髪をひっつめて頭の上でお団子にした中年の女の人が出てきました。
マスターの奥さん、「ママ」でした。

「あらあんた、この子達なの?随分若いわね。」

「ああ…ユイとあけみより少し下かもしれないな。この子たちは直美とえじきって言うんだ」

ユイとあけみ…?誰だそれ?と思いましたが聞く雰囲気ではなかったので黙ってました。

「まぁ2人とも座れよ、疲れたろ」

マスターに言われ、私たちはカウンターのシートに腰掛けました。

「…私はね、この店のママ。マスターと2人でやってるけどほとんど私1人でやってるのよ。」

ママは年の頃は40代半ばぐらい。化粧映えのする、ちょっと色っぽい感じの人でした。

「仕事内容は2人とも基本厨房で料理やってもらったり、お客さんの接客をしてもらうけど、簡単だから大丈夫よ。ごはんも毎日ママが作ってあげるからね。
あとママはね、娘がいるんだけどマスターの子ではないのよ。お互い再婚だけど連れ子はママだけなの。でもみんなで仲良く暮らしてるの。娘なんか22にもなるのにいまだにマスターとお風呂入るくらい仲良しなのよ。だから、2人もうちの家族と仲良くしてな」

私はママに一緒にお風呂って変です、と言いたかったけどここでも黙ってました。
その後、私たちは車に乗せられ、マスターとママの家へと連れて行かれたのでした。

着いたところは少し大きめな一軒家でした。
門をあけるとやたら大きい犬がハァハァしながら近寄ってきました。
マスターがハウスだハウス!!と怒鳴るとトボトボ小屋に入って行きました。

ママが玄関を開けると、ガランガランと大きな音がしました。
ドアの上に大きな鐘が付いていたのです。
外の猛犬といい、ずいぶん防犯のしっかりした家だな、と思いました。

家へ入ると、玄関のすぐそばの部屋に案内されました。
中に入ると4畳半くらいの部屋に煎餅布団が2枚敷いてあります。
ここが私と直美の部屋でした。直美は言いました。

「えじきちゃん、せまくない?」

「うん、密集地だね。」

ママは次に居間へと案内し、私たちを座らせると話し始めました。
「そうだ、お金の事話しておかなきゃ。ごはん、家賃、洋服はママが全部用意してあげる。お給料もちゃんと出してあげるからな。安心してな。」

お給料、と聞いて直美が笑顔になりました。

「そんな、いいんですか?」

「あたりまえよ。私の娘同然可愛がってあげるつもりで考えてたんだから…」

ママの口から何度も出る『私の娘』『家族』という言葉に、最初は疑っていた私も、このママさんとマスターさんはいい人なのかな?って思いはじめていました。
またママのサバサバして裏表の無さそうな話し方も、私たちの警戒感をゆるませました。
「じゃあさっそくだけど、今日の夜から働いてもらうけど大丈夫?洋服は直美とえじきの部屋のタンスに入ってるから、着替えてきてな。」

私と直美は部屋に戻ると言われたタンスから服をひっぱり出しました。
びっくりです。
どの服もバブリーすぎる強烈な肩パットが入っていたのです。
あまりにも時代がずれているので古着かと思ったら、ちゃんと値札の付いた新品でした。

一体どこで売ってたのでしょうか。
しかも胸元には貝殻みたいなスパンコールが。
直美の方も色違いで同じ物でした。

「このシルエットは…」

「これは着たくないな、えじきちゃん、パット外そう」

「うん、そうしよう」

直美は化粧ポーチから眉バサミを取り出しパットを外してくれました。
それでも何か変でした。

そしてスカートの方は、紫色のつるつる加工されたあまり見たことないスカートでした。
直美のはスリットが入った肌色のスカートでした。

「…ねぇ、えじきちゃんやっぱり帰ろうか?」

「そうだよね、昨日から色々ありすぎてよくわかんないけど、この状況ってやっぱりおかしいよね?」

「うん、でもママが私たちの事よくしてくれてるから、何か申し訳ないというか悪いような気もする…」

「そっか…そうだね、じゃあ少し様子見て帰るか判断しようか…」

私と直美は変な服に着替えてママと車で再びお店へと行きました。

こうして私と直美は住み込みバイトをする事になったのです。

ホラー映画と漫画とハロプロとウサハナが好きな変態です。体験手記『魔界ぐるぐる巡り』を模索舎さまにて販売させて頂いてます☆普段はオカメインコと暮らしながら時々呪みちる先生のお仕事の...
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