isekai06-thum

もうバイト止める!!そう決めてママに話したはいいが…

2016年10月29日

『魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編』 異世界編⑥―マインドコントロール -前編-餌食姫

-恐ろし屋厳選怖い話-
~恐ろし屋 怖い話シリーズ~
魔界ぐるぐる巡り どんぶらこ編より「異世界編⑥―マインドコントロール -前編-」
目が覚めると、15時でした。
私はまだいびきをかいている直美を叩き起こして、一緒にママ達の寝室へ行きました。
ママはヘアバンドしてメイク中でしたが、私たちに気づくと、鏡の方を向いたまま言いました。

「やっと起きた?遅いわ。早く2人ともごはん食べな」

私たちはしばらくもじもじしていましたが、直美が昨夜の話した事を切り出しました。

「あのね、ママ…聞いてくれますか?…私たちここに来て色々してくださるのは嬉しいんですけど、昨日みたいなおじさんと何処か行くとか、特別な接待とかしなきゃいけないとか、そういうの聞いてなかったっていうか、無理…」

直美がそこまで言うと、ママは手を止めました。
そして黙って私たちの方を向いて座り直すと、キッとこちらを見据えました。
私はハラハラして心臓が止まりそうでしたが、直美はかまわず続けました。

「無理なんで…辞めてもいいですか?居酒屋のお手伝いだけならよかったんですけど…今日、このまま帰らせてもらいます。ね?えじきちゃん。」

いきなり振られて、一瞬私はドギマギしましたが、

「うん…」

と言って小さく頷きました。
その後しばらく気まずい沈黙が続いた後、突然ママが、はぁ…とため息をつきました。

「そうだったの…マスターがね、居酒屋の手伝いと一緒に、特別な接待みたいな事やりたい子たちがいる、て言うからそのつもりだと思ってた。了解ずみってな。でも、そうじゃなかったのね。」

話しながらママはどんどん暗い表情になっていき、最後はうつむいてしまいました。
意外でした。私も直美も、怒られるかもっと面倒な事になるのを予想してたからです。

次第に私たちは、なんだかママに申し訳ないことをしてしまったと思うようになりました。
しばらくママは黙っていましたが、急に顔を上げると、打って変わって明るい声でいいました。

「わかった。ママにまかしときな。直美とえじきはママが責任とって面倒みるから。そのかわり、居酒屋はちゃんと手伝ってな!」

ママの目がうっすらと潤んでいるのを見て、私もなぜか胸が熱くなっていくのを感じました。

「あの…じゃあ、あの特別接待をしなくてもここにいていい…って感じですか?」

「当たり前よ、何言ってんの?」

ママは胸を張りました。

「だって直美とえじきは、ママの娘なんだから!」

このダメ押し私たちは見事に感動させられてしまったのでした。
じっさいは別に私たちが罪悪感を感じることも、感動する理由も全然ないのですが。

でもこの時、もう私たちは完全にママの術中にはまってしまっていたのです。
それでも心の片隅では、何か変だな…と引っかかるものがありましたが、この時はママはいい人なんだ、この人を困らせてはいけない、と本気で思ってしまっていたのでした。


それからは私と直美は、毎日居酒屋と家の往復でがんばってお手伝いしていました。
私たちの仕事は主に接客でした。お客さんの隣に座り、お酒を作ったり、いわゆるホステスとかコンパニオンみたいなことをするのです。
でもママが約束してくれた通り、「特別接待」は無くなりました。私はママに感謝⁽?⁾しつつ、その恩返しをするため一生懸命やりました。やばいですよね。

常連のお客さんはだんだんと顔を覚えていきました。
週3回ペース位で来る“ドンちゃん”いう人は、酔うとお店の真ん中でブレイクダンスのような踊りをするので、やっぱりすぐ覚えました。
ドンちゃんは年齢職業不詳、店に来る時は

「yo、yo、チェケラッチョ♪」

と、言いながら太った体を揺らしながら入ってきます。
いつもダブダブのBボーイファッションで、何かいろいろと勘違いしたラッパー気取りの変なオッサンでした。
そしてこのドンちゃんの口癖というのが、首を横に向け口を突き出し、

「ビミョー⁽微妙)。」

いつも反応に困りました。
あと、“あっちゃん”というおじいさんも週2~3回ペースでやってきました。
年は70くらい、いつも夜中に泥酔して来るのですが、虚言壁が酷く、話す度に

「俺は昔、警察官だったんだ」「俺はカラオケの先生だった」「俺昔消防士だった」

などと、毎回言ってる事が違うので他のお客さんには嫌われていたようです。
私は逆に、今日は何になるのだろうとわくわくしながら話を聞いていました。

このあっちゃんはいつもお手洗いに行ったあと、おしっこを流してくれないので、行った後は必ず私が流しに行きました。
あっちゃんは糖尿病とかいろんな病気を持っていたので、おしっこはいつもクリーミーに泡立っていました。

それを毎回流してあげたのは、私に変な義務感があったからでしょうか。


ある時、中年の夫婦らしい2人組が来ました。
旦那はパンチパーマでダボっとした白の上下ジャージセット、そして首に戦車のキャタピラみたいなごつい金のネックレスをしていました。
嫁はワンレン茶髪、ロングヘアで、服はピンクのロンTに下は黒いジャージを穿き、同じく金色のキャタピラのネックレスをしています。

ボックス席に座ったので、ママに付いて来いと言われ接客しました。
私が座ると、嫁の方が私に突然言いました。

「あんた、セックス好き?」

「え?いきなりどうしたんですか?」

「いやいや、聞いてるのよ」

「好きと言われましても…」

「ねぇ、うちらと3pしない?」

すると旦那も言いました。

「3人ですると気持ちよさ倍増やで」

私はものすごい絡みずらい人たちが来たな、と思ったのですが、邪険にする事もできないのでぬほほほと笑いながら

「いいですね、仲良しさんですねほほほ…」

と、流していたら盛り上がったのかいきなり私の目の前でディープなキッスをしだしたのです。
そして舌を絡ませながら嫁が横目で私をみながら

「来な」

と言いました。
旦那は嫁のおっぱいをもみしだいています。
来な、って言われてもなぁ…と思い、私が困っていると、いいタイミングでママに呼ばれ、他の席に移ってその場は逃げれたのですが、一体あの夫婦はどんな性癖なのだろうとしばし気になりました。
ちなみにその夫婦はその後1度も来る事はありませんでした。
何だったのでしょう。

ejikihime
ホラー映画と漫画とハロプロとウサハナが好きな変態です。体験手記『魔界ぐるぐる巡り』を模索舎さまにて販売させて頂いてます☆普段はオカメインコと暮らしながら時々呪みちる先生のお仕事の...
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