闇小噺31_40

ツイッター上で投稿されている超短編怪談『闇小噺』。その【31】〜【40】を掲載!

2017年01月09日

『闇小噺』 闇小噺[31]~[40]岡花光鬼

【闇小噺31】

台風だろうと関係なく出勤の為、
渋々と雨具を着て自宅を出る。
強風に煽られながらようやく駅前まで来ると、
少し先で商店の看板が外れて飛んだが、
幸い人に被害はなかった。
すると視界の隅に高速で飛んでくる影が入った。
咄嗟によけると、
そこにはカッパ姿のオッサンが
斧を振り上げていた。

【闇小噺32】

貧乏な俺はあえて激安の事故物件を借りた。
部屋は少し暗いが特別嫌な感じもしない。
荷解き中に携帯を弄っていると、
カメラが勝手に撮影を始めた。
だが写真には特に変な物は写っていない。
翌日も勝手に撮影を始めたが、
やはり何もない。
あれ?
そういえば自撮りモードなのに、
俺が写ってない…。

【闇小噺33】

昨年、母は幼い妹と私を残し病で亡くなった。
妹は母の温もりを求め、
いつも私や祖母に抱っこをねだる。
ある夏の日、深夜に目を覚ますと、
隣で穏やかに眠る妹に寄り添うように、
白い靄が揺らめいていた。
微かな懐かしい香り。
あぁ、お盆だっけ…。
ふと涙が溢れる。
風鈴が優しくチリンと鳴った。

【闇小噺34】

今朝、3年飼った犬が死んでいた。
庭に埋めてあげようという話になり、
「じゃあ、ここに埋めてあげて」と幼い息子が言う。
妻が「短命だったけど、幸せをありがとう」と言いながら土を掘ると、
沢山の小動物の骨や死骸が出てきた。
「ここなら寂しくないよね」と、
息子がニコニコしながら言った。

【闇小噺35】

心霊動画が撮れたと
友人がはしゃぎながらそれを見せてくれた。
深夜の墓地でタバコを吸っている俺の足元を指し、
「これ、オーブみたいなのが映ってるだろ?
お前、ヤバくね?」と笑う。
俺は言葉を無くした。
俺の横にいる友人の背中に女が覆い被さっている事に、
こいつは気づいていないんだ…。

【闇小噺36】

SNSで意気投合した女性が、
何が気に入らなかったのか
突然「殺す!」と言い出した。
いくら落ち着くよう言っても全く収まらない。
正直少し好きになっていたが仕方なくブロックした。
すると自宅の廊下をバタンバタン何かを叩きながら
「んの野郎!絶対殺す!」と言って、
父が通り過ぎて行った。

【闇小噺37】

コインランドリーで洗濯中、
若い女がやってきた。
夏という事もあり、
露出した肌に目を奪われる。
漫画を読みながらチラ見していると、
突然女が凄まじい悲鳴を上げた。
驚いて顔を上げると、
女の姿がない。
辺りを見回すと、
ドラム式乾燥機の中に、
関節がグシャグシャになった女の遺体があった。

【闇小噺38】

彼女が綺麗な石を拾ったと自慢げに見せてきた。
怪しく輝いているが、
確かに綺麗だ、吸い込まれそうな程に…。
つい見惚れていると、
彼女がこれは私の物よと怒り出した。
何て事を言うんだ。
二人の物にすればいいじゃないか!
いや、むしろそれは俺が持つべき…。
翌日、
男女の遺体が発見された。

【闇小噺39】

バイト先の居酒屋で、店長に尋ねる。
「店長、あの客、誰と話してるんスかね?キモ…」
二人掛けの席に男が一人、
誰もいない向い席に話している。
「あぁ、放っておけ、どうにもならん」と店長が答える。
「どうにもならんって、どういう意味っスか?」
「あの席であぁなったら、
もう助からねぇよ」

【闇小噺40】

生き別れた弟に30年ぶりに会える事に。
弟は重い病を持って生まれ、
両親は治療費を稼ぐ為に全てを捧げたが、
二人共苦労の末若くして亡くなった。
弟が今も元気でいられるのは両親のおかげだ。
だが俺は両親の顔を忘れてしまったよ。
異国の地で
あらゆる屈辱を受けた。
俺は懐に刃物を忍ばせた。
闇小噺
ツイッター上で超短編創作怪談を呟き、ちょっと怖い雑な画像も作成するしがないグラフィックデザイナー。
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